2008年7月31日木曜日

うばうとうばわれる



ちゃんと書こう。


ってことで、リハビリがてら、日記です。


月曜はレポートを無理くり仕上げ、友達と食事、お泊りで「ゆれる」を観ました。
ラブコメだの、ホラーだの、色々言ってたんですけど、私の意見が採用され、こんな重いものになってまった。
いいんだ、だって観たかったんだ。
視聴後に、馬鹿っぽいものが観たくなるんじゃないかと「エロリンピック」的一本を借りる寸前まで話が進んだんですが、「寝なさいな」と理性が囁き、またの機会に持ち越しです。

「ゆれる」

以下、私見。

弟が、兄を橋の上で抱きしめるシーンをみて、これは自己愛の話なのかなと思いました。
かと思えば、他己愛(とも違う家族愛)を感じたりもして、
その間でゆらゆらとずっと揺れ続けていました。
その観点で話を見ていたから、ラスト近い、弟と兄の会話に
「ああ。あながちはずれではなかったな」
と思えたのですが、
最後の流れに色々なことがわからなくなりました。
ただ、私なりに、
弟の最後の証言が兄によって(間接的)に誘導されたものであって、そういう意味で
いえ、むしろはじめからさいごまで、
奪われていたのは弟の方なのかもしれないと、
もう全くの自己解釈ですが、思いました。
あのとき弟が激昂したのは、そういうことだったのかもと。(まあね、深読みだってのはよくわかってます)
弟の証言を見つめる兄役の香川照之さんの表情は壮絶でした。何であんな表情できるんだろう・・・

「奪われたのは兄で、奪っていたのは俺のように見えて、その実・・・」
というようなモノローグが最後はいりましたが
奪うではなく、
縛る、縛られる、で考えると、私には理解しやすかったです。
家に、田舎に、縛られて生きているのは兄だけれども、そこから一人逃げ成功を収めた弟が、誰よりも、その事実に縛られているのではないでしょうか。
多分、そんなにはずれてはいない。

しかし、お若い西川監督の手腕と才を感じざるを得ない映画でした。
観やすい、というのか、とても感じ取りやすかった。
背中を見る、だとかの行為ひとつひとつが純粋で端的、惜しみなく時間をそそぐので
色々なものが積み重なって、じわじわと感情につながってゆく。
だからこそ一瞬も見逃せない気がしてやや疲れました。

奪う、と、奪われる。

奪うと、 奪われる。

ゆれるゆれる、

女もゆれる
ホースも
橋も
人もゆれる


橋の上でうずくまるお兄さんの遠景、
全編を通した、影の色、
さいごの笑顔、
美しく切ない作品でした。

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