2008年5月8日木曜日

日常がうえにある


たとえば椅子を見たとき、平面が組み合わさってできた立体だということがわかります。

ところが、バウハウスの椅子を見ていると、限りなく立体だ、という気分にさせられます。
直線や曲線が立体を構成する。その立体が重なったり、ずれたりして、かたちをつくる。かたちのあるところに影が生じて、

美がそこにある。


そんなこんなで

「バウハウス・デッサウ展」に行って来ました。

かじった程度とはいえ、授業でお勉強していたので感動もひとしお。

バウハウスの合理主義・機能主義・構成主義を肌で感じる企画展でした。



特に感じたのは「バランス」。色、素材、かたち、それぞれに最大適した「バランス」が存在し、組み合わさることによってデザインとなる。

著名作家の椅子や、建築などの展示はいわずもがな、

バウハウスの教育として、演習授業の作品が数多く展示されていましたので、

なぜ、優れたデザインがうまれるのか、そこの背景を感じ取ることができます。

カリキュラムといい、精神といい、講師陣といい、本当に素晴らしい学校だったんだなあ~~


バランス、と一重に言っても視覚的なバランスだけでなくて、機能としてのバランスがあります。

展示物のひとつに、アンバランスなオブジェ(?)が一本の糸にぶらさげられた演習作品があるのですが、

何ともいえない安定感を見る者に感じさせるんですよね。

他にも素材研究の演習作品などがありまして、

切り込みを入れる、折り曲げる、単純な行為が何よりデザイン的。

素材や色、ひとつのバランスを活かせてこそ、意味や用途のある「生活品」にデザイン性を付与できるんでしょう。


その点でも、バウハウスの教えは「生活品」であって、「芸術作品」ではないという印象があります。

(素人の戯言に過ぎないので、きちんと学ばれた方に読ませられるものではないのですけど・・・)

不安定な要素を内包し、実用性を伴わない美しさをもつのが後者、

機能性や実用性を第一に捉えたのが前者というイメージがあります。

どちらも「デザイン」であることにかわりはないのですが、「美」の置き方が違うのかもしれません。


作品の先に人間の生活が感じられるのが、バウハウスのつくる「生活品」の好きなところです。



バランスと構成、機能のうえにあるデザイン。それらがうむ日常、日常が置かれる空間、建築。
人を想ったバウハウスのデザインはとても「立体的」で「質感的」なのでした。


企画店は東京藝大美術館で7月21日まで開催されておりますので、

機会がありましたら是非!

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